映画の思い出


松任会館(まっとうかいかん)
 写真アルバム「小松・加賀・白山の昭和」と言う本を開いていたら、松任会館)という映画館の写真が出てきた。松任会館は、私の生家の2軒隣に有った松任町唯一の映画館である。

 初めて入ったのは小学区低学年の頃、学校から「子鹿のバンビ」という映画を見に行った時だったと思う。あのころはカラーの映画は少なく、イーストマンカラーや総天然色映画などと言われていた。この映画館の看板を描く店が小学校の通学路に有り学校の帰りにわくわくしながら覗いていたものである。

 学校から見に行った映画では、「原爆の子」のモノクロの悲惨な黒い雨の中を逃げ惑う子供の姿が印象的だった。
その後鞍馬天狗などの映画を見に行った。悪漢に襲われた主人公を助けようと鞍馬天狗が現れると皆で拍手をしていたものである。映画が始まる前には必ずニュース映画が上映され、毎度竹脇昭作?の独特の調子の解説があった。美空ひばりや笠置シズ子の映画も見た記憶がある。
松任会館では、国鉄松任工場の慰安会や北陸放送ののど自慢大会なども行われていたように記憶している。

ナトコ映画
何年生の頃まであったか、ナトコ映画というのが時々女学校などの校庭や広場で上映された。当時は何でも映画を見られると言うことで喜んで見に行ったものである。白い晒しの布の両側を竹の棒に取り付けたスクリーンに持参した映写機で映していた。映画の内容は覚えていないが、同級生などがたくさん来ていて楽しかった思い出である。後でわかったがナトコ映画とは、GHQの占領政策の一環で、日本人に民主主義を定着させるためのプログラムだったとのことで有る。

ターザン
 子供の頃のヒーローはターザンだった。ジャングルの中でジョニー・ワイズミュラーが演じるターザンとジェーン、チンパンジーのチーターが活躍する物語である。この映画を母方の従兄弟に金沢の浅野川沿いの北国劇場へ連れて行ってもらったことを思い出す。まだモノクロームの映画が殆どだった頃総天然色映画で感動したものである。勿論次の日は神社の森でターザンごっこだった。

黒部の太陽
 高校生2年か3年の頃、珍しく学校主催で金沢劇場へ三船敏郎、石原裕次郎主演の「黒部の太陽」という映画を見に行った。工業高校だったので学校の意図は黒部第三発電所用ダム建設の工事を見せたかったのだと思うが、当時は学校の意図は理解せず、迫力に感動したことが印象に残っている。高熱隧道や破砕帯の知識があればもっと楽しめたのかもしれない。

ジェームス・ディーン
 高校2年か3年の頃、試験期間中にTa君から「スカラ座(金沢、香林坊)にジェームス・ディーンの映画が3本立で掛かっている今日までだから見に行こう」と誘われた。翌日まだ試験があるのでどうしようかと思ったが、ガリ勉と思われるのも癪だと思いTa君、Is君と3人で見に行った。「エデンの東」「理由無き反抗」「ジャイアンツ」の3本で有り、ジェームス・ディーンの映画はこれが全てだとのことだった。翌日の試験結果はどうだったかは覚えていない。

多賀会館
 昭和34年入社した頃新聞に映画の広告が入ってきて、その広告の隅に割引券が着いており3本立て映画が70円位で見られた。寮の同室の先輩に映画に連れて行ってやると言われ見に行った。何しろ入社直後で地理も不案内でただついて行った記憶がある。あまり娯楽も無い時期であった。


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