梓川の濁流

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  上高地といえば、さわやかで、梓川といえば清流戸いうイメージを抱くが、これはわつぃが経験したただ1度の梓川の濁流に遭遇した時の話である。
2006年7月15日、赤沼ガイドのパーティーで奥穂高岳~西穂高岳(ジャンダルム)の縦走に参加した。
 涸沢小屋に到着する頃には雨がかなり強くなっていた。寒くなり炬燵に入っていたところ、高校生のパーティーがずぶぬれになって入ってきた。軽装でザイティングラートを上っていたが風雨が強くなり引き返してきたとのこと。炬燵に入れてやりながらわがパーティーの女性が無茶な行動を戒めていた。

 翌朝雨が上がらなかったので下山した。横尾まで来ると小屋の前に釜トンネルが閉鎖されるとの張り紙が出されていた。
 梓川は轟々と音を立てて濁流が流れていた。ゴロンゴロンと川底を大きな石が転がる音が不気味だった。柳の木が根を付けたまま流されていた。梓川に流れ込む支流の水嵩が増え、鉄砲水の様で渡渉にはガイドが川の中で踏ん張りながら一人ひとり手を取って渡す状況であった。明神まで来て休んで出発しようと立ち上がったが、上高地への道路はかなりの冠水で歩けないとの状況が先に歩いていた人から伝えられた。急きょ明神池側のコースに変えた。橋のすぐ下まで濁流が迫っている河童橋を渡りようやく上高地のバスターミナルについた。

 そこにはバスやタクシーはもちろん、帰れない登山客があふれるばかりになっていた。足に自身のある人は歩いて釜トンネルを抜けるため歩き始めていた。ガイドの調べた情報では、時間雨量が規定値を超えたので釜トンネルを閉鎖しており、途中の道路は異常がないとのことだった。ガイドは自分の車にメンバー一同を載せて、顔パスを生かして釜トンネルを抜け松本駅まで届けてくれた。
ジャンダルム縦走は後日パワーゾーンのツアーで達成した。