白 山

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手取川河口、呉竹文庫付近からの山容

 白山はわが故郷の霊峰である。古来駿河の富士山、越中立山と並び加賀の白山として3名山と呼ばれている。私の母校の校歌にも歌われている加賀の人の心のよりどころである。私はこの山に都合7回くらい上った。その中で記憶に残っているエピソードを紹介したい。

M先輩との登山
 
会社の先輩のMさんと白山へ行こうということで、白山市にある私の実家へ帰省した。そこで私の兄も一緒に上ることになり、翌朝3人で兄の車で出かけた。途中から雨が降り出した。登山口の市ノ瀬へ向かう途中から雨は次第に強くなってきた。百万貫石を通過する頃には猛烈な雨となってきた。兄は登山道で厳しいところがあるから今日はやめようと言い出したが、Mさんはもう少し先まで行ってみようと言い別当出会いまで行った。
まだ少し雨は残っていたが歩けそうだということになった。歩き始めると、雨は次第に上がってきた。砂防新道を進んで来てようやく甚之助小屋へたどり着いて昼食にした。そこに外人の男女が休んでいた。彼らは何も食べていないようだった。我々は嫂が一人3個ずつおにぎりを作ってくれていたので、私は彼らに1個ずつおにぎりをさし出した。
彼らは何も食料を持ってこなかったとのことで喜んでいた。私は兄から1個もらい腹を満たした。私がばてていたのでそこからはエコーラインルートを通って室堂へ行った。
室堂へ着くと偶然我々の隣に先刻の男女がいた。彼らはフランス人の姉弟だった。姉が同志社大学へ留学中で、弟が夏休みを利用して日本旅行に来たとのことだった。姉はショートパンツ姿で乾燥室へ何度も通っていた。落ち着いたところで、先刻のお礼だと言って、自分の郷里の村で作ったワインを1本くれた。お蔭でその晩3人でワインを味わった。帰りは観光新道を取って下山した。フランス人姉弟との交流ができた山行だった。

同窓生との山行
 
金沢市工高の茨城地区の同窓生で白山へ登ったことがない人がいるということで、白山へ行く計画が持ち上がった。高萩市の土岳での体力づくり登山、2005年5月日光白根山、6月会津駒ヶ岳など訓練登山を経て、7月25日いよいよ白山登山に挑戦した。
 パーティーは、同窓生4名と奥様一人、友人夫妻の7名で、砂防新道から上った。黒ボコ岩を経て室堂に到着したところ、台風が近づいているとの情報があった。明日はどうなるかわからないのでとにかく頂上へ行ってこようとのことで出かけた。頂上は雨風で視界ゼロで展望はまったく見られなかった。室堂へ戻ると、台風が近づいているのですぐ下山してくださいと言われた。山に不慣れな人もおり、上ったばかりですぐ引き返すリスク、一泊すれば明日車道が通行止めになるかもしれないリスクの間で判断を迫られた。結局下山する道を選んだ。風が強くなってきたので、エコーラインを通り下山した。はじめて白山登山した方には展望も見られず、日帰りの強行登山となり気の毒な山行となった。

チブリ尾根
 
白山登山は何度も経験しているが、いつも砂防新道と観光新道を十ていたので、新しいルートを通ってみたいと考え、パワーゾーンの企画に参加した。ルートは小原登山口~赤兎山~三の峰~別山~チブリ尾根~市ノ瀬のコースである。
 1日目赤兎山へは比較的易しい道であった。赤兎避難小屋で泊った。2日目三の峰への道は長く、直射日光の様当たる道で非常に疲れた記憶がある。三の峰の避難小屋につき夕食の準備にかかり、水の供出を求められた。手持ちの水を供出すると明日の行動用の水がなくなるので、水汲みに出た。足元の不安定な道を谷まで下りて水を汲んだ。
 3日目三の峰から別山を越え御舎利山からチブリ尾根へ出た。別山はなだらかな山だった。チブリ尾根はあまり整備された道ではなかったが、右にブナ林を見ながらルンルン気分で歩ける道だった。終着点は市ノ瀬登山口である。チブリ尾根はもう一度行ってみたいコースだった。

Wさん、Tさんとの山行
 2002年9月同期入社のWさん、後背のTさん戸3人で白山登山に行こうと話が纏り出かけた。兄が同行してくれることになり、金沢駅出落ち合い、兄の車で市ノ瀬に向かった。市ノ瀬からはバスで別当出会いまで行った。好天に恵まれた登山となった。砂防新道ルートを最初は順調に歩いていたが、次第にTさんは立ち止まるようになった。足が速く、負けず嫌いの兄は人に追い抜かれるのが次第に我慢できなくなり、行くぞ、早くとはっぱをかけていた。なんだかんだ言いながら室堂に着いた。翌日は山頂に登り、池めぐりをした後、観光新道で下山した。途中80歳のおばあさんに追い越された。またそこで兄の短気が言葉になって出てきた。
帰路白峰で入浴し、蕎麦屋に立ち寄り金沢へ戻った。その晩は、金沢の加賀料理を堪能した。

その他
このほか、入社当初同期同窓生と3名で初めての登山、結婚前に兄夫婦と妻と私で登山、兄と娘婿と私の3名での登山等をした。私が最も多く登山した山である。
その山容は、手取川河口付近、柴山潟方面からの姿が美しいと言われている。