神流川発電所見学


 令和元年6月10日初めて社友会茨城支部の研修会に参加し、神流川発電所を見学した。
研修会の目的地は群馬県上野村の「黒澤家住宅」「慰霊の園」「神流川発電所」であったが、大型バスが道路のカーブを曲がりきれないと言うことで「慰霊の園」へは行けなかった。自分では、日航123便墜落事故遺族会の美谷島邦子さんとご縁があったので、1度は訪れたいと思ったのが研修会参加の動機だったので残念だった。
   「黒澤家住宅」
上野村は江戸時代幕府直轄地黒澤家は天領の大総代で、この住宅は19世紀中頃の建築とのことであった。間口21.9m×奥行き16m総二階建て、部屋数31と言う規模の大きさには圧倒された。
 私は古民家の外観に興味があったが、特徴である栗の木の板葺きで、丸石3,100個で押さえている屋根を見渡すには周りの余地が少なく残念だった。
 「神流川発電所」(かんながわ)

1,2号機発電機室   電動発電機設置(地下) 3、4号機設置予定地 PS工説明書
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神流川発電所は東電ホールディングスが誇る世界最大級の揚水発電所である。
日航123便墜落事故で知れ渡った御巣鷹山の地下500mに掘られた大空洞の中に設置された設備を見学した。
揚水発電所は電力需給の調整を目的に作られているもので、発電指令が出たら5分間位で系統に併入可能とのことである。
私は電発竹原発電所の試運転時期に何度も出張する機会があり、石炭火力の試運転時にトラブルでダウンするとすぐに中国電力へ電話連絡し揚水発電所起動を要請ししてカバーする場面に立ち会った経験が有る。関係はないが九州電力天山発電所の建設途中に出張で訪れ水圧配管を結合する巨大なボルトナットを見て驚いたことがある。 
 
  勿論ポンプ水車・発電電動機などは地下にあり見学は出来ないが、地下に作られた大空洞は270トンクレーン2基を備えた、機器の現地組み立て作業場所であり、主変圧器や励磁機、相分離母線などの設備を収納する場所でもあった。
壁の崩落防止のためのPS工がちりばめられていた。現在は1,2号機が運転中で3~6号機は未着工、5,6号機は別の大空洞に設置予定とのことであった。
 
 PS工とは直径10cm深さ10~16mの穴に直径2cmの鋼線を4本入れその奥の方4mに定着材を注入固定し擁壁の表面に当てたプレートの外から引っ張り緊張させることで吹き着けコンクリートの擁壁を岩盤に押しつけて強化しているものである。

参考までに主要工作物および主要機器についてパンフレットから引用しておく。
 最大出力   282万kW(47万kW×6台)
有効落差   653m 
 上部ダム  中央土質遮水壁型フィルダム 高さ136.0m 堤頂長444.0m 堤体積730万㎥ 信濃川水系南相木川 
下部ダム   重力式コンクリートダム 高さ120.0m 堤頂長350.0m
堤体積72万㎥ 利根川水系神流川 
 1号水路系  導水路  内径8.2m 延長2,445m 
 水圧管路 内径8.2~2.3m
延長1,397m(1,2号発電電動機側)
延長1,365m(3,4号発電電動機側)
発電所   高さ51.4m 幅33.0m 長さ215.9m 地下式 
放水路   内径4.1~8.2m 延長2,270m 
 ポンプ水車  立軸フランシス型ポンプ水車4台 
 発電電動機  立軸三相交流同期発電電動機4台 
 
  
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