ラッキーな山行

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 明神岳は上高地の明神池の奥に見える山である。1~5峰あるが、登山道が整備されておらず、上る人の少ない山である。その連山は徳本峠からよく見える。私は、人があまり登らないということに興味をひかれ、パワーゾーンという名古屋の山岳ツアー会社のカタログを見て1峰登山に申し込んだ。
(写真は明神岳1峰と2峰)

 平成18年7月31日当日私は常磐線のトラブルで、上野駅に着いたのが夜中の2時頃だった。JR東の配慮で18番線に特急列車1編成を引き込み、宿泊用に提供してくれた。新宿発朝1番の中央線特急に乗っても集合時間に間に合わないことが明白だったので、パワーゾーンのガイドに電話を入れ、1時間余り遅れて上高地のバスターミナルに着いた。待ち合わせ場所のビジターセンターでガイドの滝本氏と落ち合い、岳沢登山道を同行するパーティーを追いかけ、追いつくことが出来た。当時岳沢小屋が火災で無くなってしまっていたので、残雪のキャンプ場にテントを張り野営した。夜半に雨が降った。朝食を摂った後名古屋から参加していた3人が天候が悪いので帰ると言って山行をあきらめて下山した。

 雨が降る中テントを撤収、装備をデポしガイド、サブガイドと私と他に1名の4名で歩き始めた。1時間余り歩いたところで、一緒に歩いていた方が体調が悪いので帰りたいと申し出たので、サブガイドとその方は下山することになった。デポした荷物はサブガイドが上高地の西糸屋まで持参してくれることになった。

 紀美子平についた頃にはすっかり晴れあがっていた。私が前穂高岳に上ったことがなかったので、前穂高頂上に上りその後明神岳1峰を目指した。あまり人があるかないコースでガレ場が続いた。少しでも上りになったときは滝本氏が前、下りになったときは私が前と決めて歩き始めた。明神岳1峰の下に取りついた時山はほぼ垂直に立ち上がっているように見えた。滝本ガイドと私はロープで体をつなぎ、ゆっくりと登った。手を駆ける岩もぐらぐらしており、1歩1歩進む状況であった。頂上は狭いが平らで二人で休むには十分な広さであった。滝本ガイドは休憩中にテントを広げて干していた。すごい体力だなと感心してみていた。

 下りは、上り以上に慎重に、常に滝本ガイドが上にいるようにしながら歩いた。前穂高の頂上は巻いて帰ろうなどと話しながら歩いていたたが、勝手なコースでトラぶってはと結局は往路の逆コースをたどって帰った。前穂の頂上に着いた時、時刻は12時30分だった。奥穂への吊り尾根を歩いてみたいと話したら、パワーゾーンの本社に連絡し、3万5千円と奥穂高小屋の宿泊費を負担するならOKとのことだったが止めた。当初の予定が16時上高地着だったので、その日帰る予定であることを話すと、滝本氏はできるだけ早く下山しようと言って、小走りに下山した。 私もそれに追いつくべく小走りに歩き、岳沢小屋後のキャンプ地にものがないことを確認し、水を飲んだ後はほぼ休まずに駆け降りるように下った。上高地の西糸屋でデポした荷物を受け取り、先についていた滝本氏にあいさつした後、バスセンターで預けたものを受けとり、16時過ぎの松本行きのバスに乗ることができた。お蔭でその日のうちに帰宅できた。後にも先にもあのような駆け足下山の経験はなかった。
私一人に専任のガイドがついてくれたラッキーな山行であった。