白山市に住む義姉からホッケの「いろつけ」が届いた。ホッケは北海道や日本海側でよく獲れるアイナメ科の魚で、体長約40cmの細長い魚で、灰色の表面に淡褐色の斑模様がある。漢字では魚片で旁は花と言う字である。表面の斑模様から来ているのかなと思ったりした。
この魚の「いろつけ」は石川県の加賀地域の夏の風物の様である。能登に住む義妹の所には無いとのことである。約5㎝角の切り身を3個串刺しにして、炭火でうなぎの蒲焼の様にたれを付けながら繰り返し焼いたものである。
7月中頃になると魚屋では店先に長方形のコンロを出す。コンロの前に座った婆さんや、親父さんが柿渋を塗った渋団扇をパタパタさせ、もうもう立ち上がる煙の中で焼き、秘伝のたれを付け、又焼くのである。その匂い、味はいつまでも懐かしい思い出とともに記憶に残っている。
私の生まれ育った所は日本海から約1里(4㎞)離れた6~7千人の町であったが、覚えているだけでも6~7軒の魚屋があり、それぞれ常連客がいた。また、近隣の村へ自転車の後ろにリヤカーを付けて売りに行っていた。うなぎなど食べられない人たちが作った味なのだろう。それも、今は3個串刺しにしたものが1本150円と高級品になっているとのことである。
スーパーで魚を買うようになって町の魚屋は減ってしまい、「いろつけ」を売る店も減ってしまった。
今回送られてきた「いろつけ」は、製造元の住所をみると以前は日本海沿いの漁村だった所で、北陸道のサービスエリア近くの店だった。
コロナ禍の最中で旅行は自粛中だが、又行く機会があるだろうかなと思いながら、懐かしい味を楽しんだ