獅子舞のこと
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私の手元に平成3年に発行された「加賀・松任 八つ矢獅子舞百年史」がある。昨年亡くなった私の兄が町内の関係者と協力してまとめた記録である。それによれば、八つ矢の獅子舞は、明治中期に金沢へ行って習得してきたのが始まりと言われているようだ。加賀の獅子舞の特徴は、豪華な獅子頭と蚊帳の胴体で構成される大きな獅子を打ち取るまでの若者と獅子の間に繰り返される華麗な演技にあると言われている。

私は昭和21年幼稚園の頃に剣(両刃の剣)を持って獅子舞に出させてもらった。秋祭りの後幼稚園で獅子舞をやらせてもらった記憶がある。
祭りが近づくと獅子舞の練習が始まる。私の祖父は獅子舞の先生と言われ、青年団の方が頼みに来て、町内の菅原神社の境内へ練習に出かけた。青年団役員の蔵さんという方が祖父のために牛乳を1本持参してくれ、それをもらうのが楽しみでついて行っていた。小学生の頃、近所の人と2人で太刀舞をするときに家の狭い奥の畳の上で祖父の指導で稽古したこともある。



昨年(平成29年)兄が入院し、見舞いに帰省した時偶然若宮神社の秋祭りに遭遇した。最近御神輿や獅子舞の小宿(休憩所)を引き受ける家も少なくなり、兄の家が小宿となっていた。まず御神輿が家の前に来て休憩し、神主が供え物に祈祷をし、それが立ち去った後獅子舞が来た。長年世話をしていた兄は小宿の責任を果たし、獅子舞を見るため1晩退院してきていた。家の前で、兄の長男が太刀舞を披露し、長女と孫娘がお囃子の三味線と太鼓を務めていた。兄は見納めと思っていたのか、その舞を見た後、近くの家まで舞を追いかけて見ていた。


平成30年白山市八つ矢町、石同新町、東町の若者が白山室堂平の白山比咩神社奥宮の社務所前で、獅子舞を披露した。兄の長男がそこで舞を披露したとのことだった。兄が長年松任の獅子舞保存会の世話をしてきたことで長男が舞う機会を与えられたものだろうと思っている。